新型コロナの影響による融資制度① |ブログ|畑山税理士事務所

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新型コロナの影響による融資制度①

 

暑かった夏も終わり、10月も終盤を迎え、本年も残すところ残り2ヶ月になりました。

この1年を思い起こすと、令和2年という年はコロナに振り回された1年でしたね。

今回は、日本政策金融公庫が取り扱う「新型コロナウイルス感染症特別貸付」について説明します。

 

※昨日、近畿税理士会住吉支部よりマスク、マスクケース、携帯用消毒液が送られてきました。

 

この「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、新型コロナウイルスの影響を受け、一時的な業績悪化を来たしている個人事業主や法人が、日本政策金融公庫から必要な設備資金や運転資金を、低利息で借入れをすることができる制度になります。

 

利用可能な方

 

最近1ヵ月の売上が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方

⇒(前年同月の売上-最近1ヵ月の売上)÷前年同月の売上が5%以上になる方です。

 

例えば令和2年9月の売上が50万円、令和元年9月の売上が55万円の場合だと、(55万-50万)÷55万=9.09%となり、5%以上となりますので、要件を満たすことになります。

 

なお、業歴が1年1ヶ月未満の方は前年の売上がないので比較する売上がありません。

その場合には最近1ヵ月の売上高が、次の①又は②、③と比較して5%以上減少していれば要件を満たすことになります。(あくまでも業歴1年1ヶ月未満の方の特例です)

  • 最近1ヶ月を含む過去3ヶ月の売上高の平均額
  • 令和元年12月の売上高
  • 令和元年10~12月の売上高の平均額

最近1ヶ月の売上の考え方(注意点)

 

最近1ヶ月の売上で判定することになりますので、融資を申し込むのが10月だと、原則9月の売上で判定することになります。

10月に融資を申し込む場合、8月の売上が前年より5%以上減少していたとしても、9月の売上が前年より5%以上減少していない場合は、要件を満たさないことになりますので注意してください。

 

資金使途

 

設備資金、運転資金

 

融資限度額

 

8,000万円(すでに日本政策金融公庫から融資を受けている借入とは別枠での借入れが可能です。)

 

適用利率

 

利率は当初3年間は0.36%、3年経過後は1.26%

通常の創業融資等の利率よりも低利率となっています。

 

特別利子補給制度

 

「新型コロナウイルス特別貸付」により借入れを受けた場合、次の要件を満たせば、「特別利子補給制度」という当初3年間の利息が実質無利子になる制度の適用を受けることができます。

 

・従業員が20名以下(サービス業であれば5名以下)の小規模事業者の場合、個人事業主であれば無条件で、法人は上記の売上の減少額が15%以上

・その他の中小企業者の場合、個人事業主、法人とも上記の売上の減少額が20%以上

 

実質無利子という言い方になっているのは、一旦は日本政策金融公庫に利息の支払を行った後、支払った利息相当額が後から中小企業基盤整備機構から振り込まれるという流れになるからです。

 

返済期間

 

設備資金最大20年、運転資金最大15年(両資金とも据え置き期間5年以内)

 

据え置き期間とは一定期間、元本の返済を猶予する期間のことです。

例えば、返済期間6年(据え置き期間1年)だと、最初の1年は利息のみ返済、1年経過後から元本の返済が始まり、残り5年で返済することになります。

 

この返済期間は、元本の月額返済額を決めるものになり、今後の資金繰りにも影響してくるので慎重に検討するようにしてください。

 

ざっくりした例になりますが、500万円を5年(60ヶ月)で返済する場合、500万÷60ヶ月=8万3千円となり、月々8万3千円の元本返済が必要になります。

これを7年(84ヶ月)の返済期間に設定すると、月々の返済額は5万9千円となり、返済期間を延ばすことで月額元本の返済額が少なくなります。

 

返済期間が延びると、その期間に対応する利息も支払うデメリットはありますが、月々の資金繰りは楽になりますので、無理のない返済計画をご検討ください。

 

借換えも可能

 

現在、日本政策金融公庫からの借入れがある方は、上記の要件に該当した場合、その既存の借入を「新型コロナウイルス感染症特別貸付」に借換えをすることにより、利息の負担を軽減させることができます。

借換え制度を利用し、さらに「特別利子補給制度」の適用も受けることができれば、利息の負担はかなり軽減されます。

 

借入れから3年経過後のケースを考えてみましょう。

借入残額1,000万円で、借入利率が2%の場合と1.26%の場合を比較してみると、年間の7万4千円利息の負担が軽減されます。

これが返済期間全体に及ぶとなれば、相当な金額になってきます。

日本政策金融公庫から既存の借入れがあり、要件を満たすのであれば、借換えを検討されることをお勧めします。

 

まとめ

 

「日本政策金融公庫 新型コロナウイルス感染症特別貸付」と検索すると日本政策金融公庫のHPで「制度概要」や「必要書類」が確認できます。

要件を満たせば融資を受けることができますので、コロナの影響により運転資金に不安がある方など、日本政策金融公庫からの融資をご検討されてみてはいかがでしょうか。

 

しかし、今回紹介した「新型コロナウイルス感染症特別貸付」はあくまでも借入れなので、借りたお金は返済をしなければなりません。

そのため、この借入れを機会に一時的に資金繰りが良くなったとしても、アフターコロナを見据えた今後3年後、5年後の事業計画、資金計画を立てることが重要です。

今後、会社がどのような方向性に向かうべきか、これを機会にご検討されてみてはいかがでしょうか。

 

 

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