税務調査とは |ブログ|畑山税理士事務所

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税務調査とは

 

税務調査というと、数十人の税務職員が押し寄せてきて、裁判所の令状を持って、段ボールに書類を詰めて持っていかれるといった“怖い”イメージがあるのではないでしょうか。

 

※大阪市住吉区のとある公園にて。紅葉の季節が近づいてきましたね。

 

実際に税務署で行なわれる税務調査はそこまでのことはされません。

とはいえ「税務調査は怖い」というイメージが一般的にはあると思います。

税務署から電話がかってきたら、何もやましいことがなくても、不安になってしまいますよね。

本日は、一般的な所得税や法人税の税務調査について説明します。

 

税務調査とは

 

冒頭でお話しした裁判所の令状を持ってくるといったケースは国税局査察部(マルサ)が行なう強制調査になります。

このマルサの調査は、刑事告発を目的にしており、告発できる案件に照準を当てて調査を行なうので、通常の一般的な税務調査とは全く異なるものになります。

 

一般の税務署で行なわれている税務調査は、主として

・確定申告をしている納税者(個人事業主や法人)の申告内容が正しいかどうかを確認

・確定申告していない者が、確定申告すべき利益があるのかを確認

するという目的で行われています。

 

そのため、税務調査の対象となる納税者は、一般的には、ご自身で事業を行なっている「個人事業主」又は「法人」になります。

(サラリーマンであれば、他に副業等の収入がない限り、税務調査の対象とはなりません。)

 

また、冒頭のマルサが行なう調査は、強制力が伴う強制調査となりますが、一般的に税務署で行なわれる税務調査は任意調査となっています。

任意調査と言っても税務調査を受けるかどうかが任意という意味ではなく強制力がないという意味での任意となっています。(税務職員が納税者の机を勝手に開ける等の強制力がないという意味です。)

調査を受ける納税者側は、税務調査の連絡があれば、税務調査を受ける義務(受忍義務)があります。正当な理由がなく税務調査を拒んだりすると、罰則規定があります。

 

税務調査の流れ

 

一般的な税務調査についての一連の流れについて説明します。

事前通知

税務調査の始まりにあたって、担当の税務職員から納税者(又は納税者が顧問契約している税理士)宛に「税務調査に行きたい」旨の連絡(事前通知)があります。

突然税務署から電話がかってくるので、多くの方は相当ビックリすると思います。

この事前の連絡は「調査に行くこと」とその「日程の調整」をするために行なわるもので、平成23年度の税制改正で法定化されています。(それまでも事前通知は行なわれていましたが、連絡する内容が明確化されました。)

 

事前通知がない場合

 

通常の税務調査は、上記の事前通知がある調査が多いのですが、「調査の適正な遂行に支障を及ぼす恐れ(税務署長が判断)」がある場合には、事前通知なく、いきなり税務職員が訪問してくる場合があります。

私の経験上、この事前通知なしの税務調査は基本的に、現金商売で行なわれている業種(飲食店や理美容店)が多い印象です。

突然、税務職員が訪問してきた場合でも、先ほど申し上げたとおり、一般的な税務調査は強制力がありません。

その日の都合が悪ければそれをしっかり説明し、日程変更を依頼しましょう。

税務職員は当日協力してほしい旨、説得してくるとは思いますが、「後日ならしっかり対応できる」、「本日の予定をキャンセルできない」旨きっちり説明すれば、最終的にはわかってもらえるかと思います。

 

実地での税務調査

事前通知の際に設定した日程と場所に税務職員が訪問してきて税務調査が始まります。

最初は「事業内容」や「取引先との書類の流れ」等について説明を求められます。

事業内容等の聴き取りの中で、納税者がどのような書類を作成しているか、またどの書類を見れば正確な売上金額や仕入金額を確認することができるかといったことを考えながら、税務職員は質問してきます。

大体2時間から午前中いっぱい、この事業概況の聴き取りが行われることが一般的です。

 

午後からは、作成している帳簿や保存している請求書や領収証等について確認をします。

その際、必要と思われる書類はすべて事前に会議室に用意しておくことをお勧めします。

この税務職員による実施の調査は、法人であれば大体2日間、個人事業主であれば丸1日使って行わることが一般的です。

 

反面調査

実地での税務調査だけでは分らない事項等について、税務署は必要があれば銀行や取引先に対して、反面調査(裏付け調査)を行ないます。

基本的には銀行に対しては、ほぼすべての案件について確認しています。

納税者から提示のあった銀行口座以外に保有している口座がないか、ほかに事業で使っている銀行口座がないか等を確認します。

 

また、当方の売上が取引先からみて仕入になる場合、税務署は取引先に仕入の状況について、問い合わせを行なう場合があります

税務署が取引先に連絡する場合には、その取引先に税務調査が行なわれていることがばれてしまうことになるので、あらかじめ取引先に話をしておいた方がいいと思います。

そのため、担当の税務職員に取引先に連絡する場合には、あらかじめ当方に連絡してほしい旨、話をしておくことをお勧めします。

 

このようにして、税務職員は実地調査で確認した内容が正しいかを検討していきます。

 

調査結果の説明

税務署での検討が終了すると、税務署から連絡があり、税務調査に対する「調査結果の説明」が行われます。

これは税務署で行なわれることもあれば、納税者の自宅で行う場合もあります。

大きな誤りがない場合は、税務調査(実地)から2ヶ月ほどで税務調査は終了します。

 

誤りが無かった場合

 

「更正すべき旨の通知」が納税者宅に郵送され、「調査終了」になります。

 

誤りがある場合

 

担当の税務職員が誤りの内容を説明し、その内容に納得できれば、修正申告書を提出します。

確定申告書を提出していなかった方は、期限後申告書を提出することになります。

修正申告書や期限後申告書を提出した場合は、その申告により発生する税金を支払う必要があります。

 

⇒誤りの内容に納得できない場合

誤りの内容に納得できず、修正申告書等を提出しない場合は、税務署から「更正の通知書」が送られてくることになります。

更正とは、簡単に言えば、所得や税額を税務署の方で決定する行政処分になりますので、不服があれば不服申し立ての手続きを行なっていくことになります。

この不服申し立てに要する手続きや時間を考えると、通常の場合は税理士に依頼し、担当の税務職員と修正申告をする内容についての交渉を依頼すること多いかと思います

 

まとめ

 

新型コロナウイルスの影響により、税務署もしばらく税務調査をストップしていたようですが、令和2年10月から感染症対策を行なった上での、税務調査が再開されています。

一般的な税務調査は上記のような流れで行われており、税務署の調査担当の税務職員は1年間に十数件の税務調査を行なっています。

そのため様々な場数を踏んでいる税務職員とはじめて税務調査を受けることになった納税者とは税務調査に係る経験値がまるで異なってきます。

担当の税務職員のペースで税務調査を進められた結果、多額の追徴税の納付を求められることが多々あります。

そのようなことがないよう、少しでも不安がある方は、税務調査の連絡があった場合には、税務の専門家である税理士の立ち会いを検討することをお勧めします。

 

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