なぜ日々の記帳は必要なのでしょうか |ブログ|畑山税理士事務所

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なぜ日々の記帳は必要なのでしょうか

会社や個人事業主が記帳を行わなければならない理由は説明できますか。

過去に私がそのような質問をお客様にしたところ、「会社や個人事業主は、毎年確定申告を行わなければならない。確定申告書を作成するために、記帳が必要になるに決まっているだろう!」という答えが返ってきました。

 

※ 9月の4連休は家族で奈良県のキャンプ場に行ってきました。

 

答えは、もちろん「正解」です。

記帳をして、記帳に基づいた決算書を作成し、確定申告書を作成するためには、会社の1年間の利益(個人事業主であれば所得)を計算し、納税する必要があります。

しかし、記帳を納税のためだけに行うものという意識だと、確定申告の前にまとめて記帳、計算をすれば良いという意識になってしまいます。

それでは、決算期末が終了した後の確定申告時期まで会社がどのくらい儲かっているかを正確に把握することはできません。

会社がリアルタイムに記帳するメリットを3つ説明します。

 

1.事務作業の平準化

 

年に1度、1年分の通帳や領収証を一気に集計するためには膨大な時間が必要となります。

また大抵の場合、保存していた領収証について、「これはガソリン代」「これは消耗品」「これは電話料金」と色んな領収証を用途別に分けることから始めることになります。

こうなれば、とても1日で終わらないですし、膨大な作業を一気に行なうため、当然ミスも発生します。

また大変な思いで領収証を集計し、確定申告書を作成したら、思ったより利益がでて、多額の税金を支払わなければならないといったことも往々にしてあります。

そこで、魔が差してしまい、売上を実際より少なくすることにより利益を少なく計算し、税金を少なくして確定申告してしまっている人を、私は税務署調査官時代によく見てきました。

その行為が税務調査で明るみになれば、不正なことをしているとして、追加の税金(本税)に加え、重加算税という多額の罰金を別途支払う必要がでてきます。

 

この膨大な作業を1週間に一度など、少しずつ行っていくことにすれば、事務処理ミスを防げるとともに、事務の平準化が可能になり、確定申告時期の膨大な作業から解放されます。

 

2.決算前の節税対策が可能

 

日々の記帳をしていると、毎月の利益の状況を把握することができるようになり、決算期2ヶ月前には期首から9ヶ月分の損益がきっちり計算されているため、1年間の利益の状況の予測ができます。

そうなると、今期の利益はどのくらいになるか、決算後に納税すべき金額も合わせて予測できるようになりますので、今後の資金繰り対策も検討できるようになります。

また、法律の範囲内での節税対策を行うことにより、発生する税金を少なくするといった対策をとることも可能になってきます。

 

3.融資申請手続がスムーズに

 

事業を継続したり、拡大していく際には、資金繰りに余裕を持たせるため、日本政策金融公庫や金融機関からの融資を検討する時期が必ずやってきます。

融資を依頼する機関によって、提出を求められる必要書類は異なりますが、一般的には、

・過去の決算書、確定申告書

・直近までの試算表(当期首から直近までの損益等を記載した書類)

・資金繰り表(過去の実績、今後の予測)

については必ず提出が必要な書類となります。

試算表は毎月の記帳によって作成するものなので、仮に記帳をしていなければ、直近までの損益を確定させるため、確定申告の時期と同様の作業を行わなければならず、また短期間で誤りがないかチェックを行わなければなりません。

必要なときに必要な額の融資をスムーズに受けるためには、日頃から記帳を行っておくことが必要です。

 

まとめ 

 

上記に記載した3つのメリットはほんの1部になります。

起業されたばかりの方も、その事業を成功させて行くために、まず記帳を日々の日課(少なくとも2週間に一度は)とするよう心掛けましょう!

現在では記帳を簡単に行える会計ソフトも市販されており、ずいぶん簡単に記帳ができる時代になっています。

どうしても記帳をしたくないという方は、税理士に指導を仰いだり、記帳業務を委託するといった方法もあります。

今後も、会計や税務情報などを発信していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

(簡単な記帳の方法についても今後投稿を予定しています。)

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